メモ帳

しらとりまな(てまり)のメモ帳です。

海と毒の話:2

一日をはじめるのが
難しくて

一日を終えるのは
それ以上に難しい

声が聞こえているなら
目をさまして
こっちを向いて

あなたの胸に沿って落ちる影だけが
本当のわたしのような気がする

あなた一人さえこぼしてしまう手は
何を掴めるのだろう

何にもなれないまま
今夜
あなたとの最後のセックス

世界が逆さまにひっくり返って
雨が空を向いて降り出したなら

そのとき
わたしは
爪の白いところを
甘いと感じることができるのだろうか

海と毒の話:1

ずっと前から

今日だと決めていた。

 

昨日どこかで

大きな地震があったらしい。

 

大きな地震とか

火事とかがあると

それがどこで起こったことでも

あれは今無事だろうかと

考えてしまう。

 

お母さんよりも先に

あれの顔を思い出してしまって

そんなことお母さんに話したら

あんたってほんと薄情よねって

渋い顔されるだろうな。

 

お母さん

そろそろ帰ってくるころかな。

 

シャワーを浴びて

全身をツルツルに仕上げて

お気に入りの下着をつけて

髪の毛は、いつもよりサラサラにとかした。

 

デートの前みたい。

 

もう会わないと決めて

遠くに来た。

 

わたしは今

千葉の親戚の家にお世話になっている。

海が近くて、夜は風が強くて

いいところだ。

 

ご飯も美味しい。

 

ほんとは違う国まで行ってみたかったけど

できなかった。

 

万が一

あれに何かあった時は

すっ飛んで行けるようにしておかないとと思った。

あれは、すっ飛んでくるだろうか。

 

こないだろうな

どんなときでも、仕事が最優先。

 

 

そういうところも好き。

 

 

今日だと決められてからは

思ったよりも辛くはなくて

むしろ気が楽になったような感じだった。

 

何かが

体からなくなっていくような感覚。

 

心なしか

本当に体重が軽くなったような気がする。

 

気がするだけだ。

 

こっちに来てから

少し太った。

 

大人はどうして

子どもに食べさせるのが好きなんだろう。

 

かさぶた

 

かさぶたを撫でるのが好きだ。

その匂いを嗅ぐことも。

  

おてんばな上に斜視があってよく転んだので

子どもの頃のわたしの体には、いつもどこかしらにかさぶたがあった。

 

膝小僧のかさぶたに指の腹を這わせて

これ以上強く触ると破れて血が出てしまうのではないかという

気持ちいいと痛いの境目を探す快感。

 

固まった、血と、体液と、埃と、汗と、死んだばい菌

かさぶたの放つ匂いが

気持ちを穏やかにしてくれた。

 

大きくなって

膝を擦りむかなくなると

脳みそに仕舞った記憶の中のかさぶた触るようになった。

 

目をつむって

一等大切にしている

「傷ついた思い出」を呼び起こして

これ以上思い出したら辛くて泣いてしまうだろうという

愛おしいと憎いの境目を探す。

 

そこいらでついた傷ではだめ。

大切な人につけられた傷でないとだめなのだ。

例えば

 

例えば

 

勿体無くて

話せないような

 

記憶の中の傷はいい

体にできたかさぶたは

いつか綺麗になって

柔らかい皮膚になってしまうけど

 

記憶の中の傷は

その人を想っているかぎり

なくならない。

 

 

 

 しらとり

 

 

 

 

 

紺の長袖

お気に入りの紺の長袖がボロボロになってしまった。

ボロボロになった。

というか

全面毛羽立って

元の材質とは異なった布になってしまった。

 

くたびれている。

という方が、近いかもしれない。

 

これは、去年京都に住んでいた頃

働き口を紹介してもらって

そこのお偉いさんと面談をするときに着るために買ったものだ。

お洒落着だった。

 

確か、グレーのスエット生地のタイトスカートと一緒に買ったんだったと思う。

 

結局その場所で働くこともなく(とても窮屈そうで通える気がしなかったのだ)

お洒落着は、日常の少しお洒落をするときに着る服から、ただの普段着へとその地位をかえていった。

特別感が損なわれたのではなく、特別に着心地がよかったために、毎日でも着たいと、昇華されていったのだった。

 

そんな愛すべき紺の長袖も

けばけばにくたびれてしまった。

 

悲しい。

 

好きな人と会うときにも随分着て行った。

褒めてもらうことはなかったけど

このシルエットが自分にぴったりだと思っていて

なんだか自信をもって彼の目の前に立てるのだった。

 

 

 

捨てるのは、勿体無いので

今度は稽古着に昇華させようと思う。

動きやすさも兼ね備えているのだ。

 

 

しらとり

 

はじめました

こんばんは

てまりのしらとりまなです。

 

文字にすると、全部ひらがなで本当に読みにくいですね。

ここまでがデフォルトの挨拶です。

 

思い立って、ブログなどをはじめてみました。

最近はTwitterばかり盛んで

140文字以上の文を書くことが少なくなってしましました。

 

リハビリの意味も込めて

少しずつ

書いて行こうかと思っています。

 

不定期更新

続けることを目標とします。

 

 

メモ帳

ということですので

雑なものが上がっていくのではないかと思います。

お付き合いいただければ幸い。

 

 

しらとりまな