紺の長袖
お気に入りの紺の長袖がボロボロになってしまった。
ボロボロになった。
というか
全面毛羽立って
元の材質とは異なった布になってしまった。
くたびれている。
という方が、近いかもしれない。
これは、去年京都に住んでいた頃
働き口を紹介してもらって
そこのお偉いさんと面談をするときに着るために買ったものだ。
お洒落着だった。
確か、グレーのスエット生地のタイトスカートと一緒に買ったんだったと思う。
結局その場所で働くこともなく(とても窮屈そうで通える気がしなかったのだ)
お洒落着は、日常の少しお洒落をするときに着る服から、ただの普段着へとその地位をかえていった。
特別感が損なわれたのではなく、特別に着心地がよかったために、毎日でも着たいと、昇華されていったのだった。
そんな愛すべき紺の長袖も
けばけばにくたびれてしまった。
悲しい。
好きな人と会うときにも随分着て行った。
褒めてもらうことはなかったけど
このシルエットが自分にぴったりだと思っていて
なんだか自信をもって彼の目の前に立てるのだった。
捨てるのは、勿体無いので
今度は稽古着に昇華させようと思う。
動きやすさも兼ね備えているのだ。
しらとり