フィクション
他人に触れるということが あまり得意ではなくて 母親と手を繋ぐのも たまに抱きしめられるのも 恥ずかしくて うまくできなかった 死にたいとまでは思わないけど 蒸気になって消えてしまいたいって思うことない? そう問いかけたのは わたしだったか あのこ…
お月様 お願いだから ちょっと黙ってて もう少し考える時間を頂戴 寝たふりをしていた あなたの指がわたしの唇に触れた 一周ぐるりと撫でて その後はじっと見つめるだけだった ねえ なんでそんな風に なんでもなかったみたいに 他の誰かと眠れるの 有線に吸…
一日をはじめるのが 難しくて一日を終えるのは それ以上に難しい声が聞こえているなら 目をさまして こっちを向いてあなたの胸に沿って落ちる影だけが 本当のわたしのような気がするあなた一人さえこぼしてしまう手は 何を掴めるのだろう何にもなれないまま …
ずっと前から 今日だと決めていた。 昨日どこかで 大きな地震があったらしい。 大きな地震とか 火事とかがあると それがどこで起こったことでも あれは今無事だろうかと 考えてしまう。 お母さんよりも先に あれの顔を思い出してしまって そんなことお母さん…